インドネシア人に対する「日本語教育」の現状

今回は「インドネシア人に対する日本語教育」ってどうなってんの?

ってところを話したいと思います。

そもそも、「なぜジャパネシアブルを作ることになったのか?」、その理由にもかかわることなので、そこにも触れながら話したいと思います。

そして、これから日本語を教える皆様がインドネシア人にとっても非常に重要な意味を持つこととなりますので、ぜひ最後まで目を通していただきたいです。

※こちらで紹介するデータに関しては直近のものとはズレがある可能性があることをご了承ください。

日本語を学ぶインドネシア人が抱える悩みとは?

まず、日本語を学ぶインドネシア人がどのような悩みを持っていて、背景を持っているかについて見ていきます。

仕事がら、私(Taiki)は多くのインドネシア人と会いますし、毎日少なくても10人くらいのインドネシア人とは話したり、メールなどでもやり取りしています。

まずは、すでに日本語が上手な方、日本に住んでいる方、日本で働いている方、あるいはそういった経験がある方、いろんな人に日本語教育について聞いた中で見えてきた悩み(課題)があったので順番に紹介していきます。

経済的側面について

インドネシア人の平均月収は4万円程度(大卒)となります。

その月収から学費をねん出するとなると、地方では5000円~1万円程度、都市部ではその2~3倍の学費となるため、学校に通うのは非常に負担が大きいです。

仮に、大学に通う場合は約22万円 / 年の費用が必要になるわけです。

ここがまず、日本語を学びたい学生の大きな障壁となります。せっかく、日本語を学びたいと思ったけど、お金がないからという理由で断念している人も多いと聞きました。

講師不足+レベル不足

日本語を学びたいニーズに対して、講師の数が少ないです。

以下の表では、教師一人当たり、約122人の生徒を受け持つ計算となることからも教師が明らかに少ないことがわかります。

機関数教師数学習者数
2,8795,793709,479
参照:国際交流基金2018年度のデータ(https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2020/indonesia.html)

問題は、教師の少なさだけではなく、N3レベルでも講師として採用し、教えていることも多いため、授業そのものの質が低いケースもあり、学校自体の日本語能力が低いレベルのままとどまってしまうケースもあります。

そのため、初歩的な文法や語彙力は強化されるものの、より上級レベルの教育を安定的に受けるには自身で学校を探す必要があり、そして、レベルが上がると学費が上がる傾向があり、長期的に学ぶ必要がある場合は大きな負担となってしまいます。

それにより、生徒さんが途中で勉強を投げ出すこともあります。

※もちろん、地域によっては学校がなかったり、学費にギャップが生じています。

日本に来たいインドネシア人

このような、いわゆる「高い障壁」があるものの、日本語を学ぶことに興味を持ってくれるインドネシア人は増え続けています。それも急速に。

その理由は、なんといってもアニメ・マンガのおかげです。

正確にデータを取ってはいませんが、「なんで日本語を勉強し始めたの?」と聞くと、7割~8割くらい「日本のアニメ・マンガ」が好きだから、と返ってくる印象です。

それに加えて、最近は「技能実習制度・特定技能」などで、日本で仕事を得るチャンスということで日本語学習を始めるインドネシア人も増えてきています。

そして日本に住んでいるインドネシア人もコロナがあったものの増加してきています。

令和2年末現在における在留外国人数について

(1)中国778,112人(構成比 27. 0%)(-  4. 4%)
(2)ベトナム448,053人(構成比 15. 5%)(+  8. 8%)
(3)韓国426,908人(構成比 14. 8%)(-  4. 4%)
(4)フィリピン279,660人(構成比  9. 7%)(-  1. 1%)
(5)ブラジル208,538人(構成比  7. 2%)(-  1. 5%)
(6)ネパール95,982人(構成比  3. 3%)(-  0. 9%)
(7)インドネシア66,832人(構成比  2. 3%)(-  0. 0%)
(8)台湾55,872人(構成比  1. 9%)(- 13. 7%)
(9)米国55,761人(構成比  1. 9%)(-  5. 8%)
(10)タイ53,379人(構成比  1. 8%)(-  2. 6%)
参照;出入国在留管理庁(https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00014.html)

さらに、厚生労働省が発表している「外国人雇用状況の届け出状況」によると、令和4年 10 月末時点で、インドネシア人の伸び率は第1位につけています。

対前年増加率が高い主な3か国
  1. インドネシア 77,889 人 (前年比 47.5%増) 〔前年 52,810 人〕
  2. ミャンマー 47,498 人 (同 37.7%増) 〔同 34,501 人〕
  3. ネパール 118,196 人 (同 20.3%増) 〔同 98,260 人〕

※参照:「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和4年 10 月末現在)(https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044540.pdf)


日本の何がそんなにいいの?

では、実際に日本に来て働いているインドネシア人は、主にどんな目的で日本にやってきたのか、今回は交換留学生の29歳女性のSさん、と日本で働く29歳男性のEさんに話を聞いてみました。

質問はズバリ「なんで日本に来たの?」

Sさん
女性:29歳

日本語能力を伸ばしたい

最初はただ、日本語能力をもっと伸ばしたいと思ってました。なので、日本に行けるとたくさんのチャンスがあると思っていました。介護の仕事をしていますが、思ったより大変であまり日本語の勉強をできていませんが、今はN1合格を目指して頑張っています。ただ何人かのインドネシア人は近くに住んでいるのであまりさみしくはありません。

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Eさん
男性:29歳

貯金ができたら親孝行したい

日本で働くと給料がいいです、ジャカルタでは月収で3万~4万円程度ですけど、僕が日本に来たら10万円はもらえます。そのため、日本で働きたい理由は、日本での貯金です。日本で貯金して親にお金を送りたいです。

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皆様の役割

インドネシア人に対する日本語教育の現状を深く掘り下げると、いくつかの重要な課題が明らかになります。日本語を学びたいという強いニーズがあるにも関わらず、経済的な障壁や教育資源の不足が彼らの学びの道を困難にしています。

特に、講師の少なさや質の不均一性は、学びたいというインドネシア人の意欲を十分にサポートするのが難しい状況を生んでいます。

一方で、アニメやマンガ、さらには日本の労働市場でのチャンスを求めて、多くのインドネシア人が日本語を学び、日本に来る動機が増しています。

これは教える側がしっかりと興味を持ってもらうためのチャンスです。

その興味から実際にどのように教えた日本語を使ってもらうか、私たちはインドネシア人の学びのニーズや希望をもっと深く理解し、適切な教育環境を整備する必要があるように思います。

また、インドネシア人が日本での生活や学習を成功させるためには、日本側がもっと積極的にサポートを提供し、双方の文化や価値観の違いを尊重し合う関係を築くことが求められます。

総じて、日本語教育の現場での努力だけでなく、より広い視野での国際協力や理解の深化が、インドネシア人と日本人との間の持続的な友好関係を築く鍵となります。

そういうことを考えると、今この記事をおそらく読んでいる講師を含めた「日本語教育機関の方々」の役割は今後、非常に重要になってくると思います。

インドネシア人の気持ちに寄り添っていけば、インドネシア人にとってかけがえのない体験をみなさまが提供できると信じています。